激しい温度差で育ったやさしい茶葉
中川根の気象が川根茶の生育に及ぼす効果とは

松島園のある川根本町 中川根地区(旧中川根町)。
ここは、昔から良質な茶の産地であると自他共に認めるところです。これも気象条件と先人たちのたゆまない努力の結果です。
しかし良質茶のできる理由として、これまでは『大河の周辺で川霧が立つから』と言われていました。これでは一般の消費者には意味が分かりにくい。
『川霧はどの地区にも発生するので特に良質茶生産に与える影響はあるのか?』
『それよりも昼夜の温度差がある地域の方が農作物のおいしい物が生産されるといわれている。中川根も昼夜の温度差、日照量、日射量などが大きく影響しているのではないか』
そこで他の茶生産地域と中川根の気象を比較してみました。

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やっぱり、松島園のある中川根は昼夜の温度差があるのです!
では、昼夜の温度差が農作物に与える影響がどのようなものでしょうか? 植物生理学会に質問をしたところ、植物生理学会 広報幹事 天野豊己先生 東京大学 大学院 農学生命科学研究科 大杉立先生から 回答を頂きました。農水省の研究関係者など、多方面に渡って調べていただいたそうです。

Q.農作物は昼夜の温度差があるほうがおいしいといわれますが そのメカニズムを教えていただきたい。
A.昼夜の温度差とおいしさの関係
①イネは登熱期間が高温だとアミロース含量が下がり粘りが出てくる。また、夜温度がさがるとデンプンの密度がたかまり、炊いたときのパサパサ感が少なくなる。 これらの点から日中高温で夜低温の場合(日隔差が大きい)には全体として美味しくなると考えられる。ただし、美味しさの中身は複雑で粘りのほかに、柔らかさ、甘みざらつき感など様々要素がある。これらがすべて日隔差で説明できるものではない。②果樹夜温が低いほど呼吸が押さえられ、基質としての糖の消費がすくなくなる。このためにリンゴ、柑橘などの果樹では糖濃度(特にショ糖)が高く維持されおいしくなる、 といわれている。

この気温差、中川根にとっては天然の恵みです。気象だけはなかなか人間がコントロールできるものではありません。しかし、最適な気象条件で摘んだ茶葉も、適切に製造しなければ台無しです。
製造については「浅蒸しにする理由」「小さな製茶機械へのこだわり」「備長炭 炭火仕上げに挑戦!」のページをご覧ください。

※本調査は1999年〜2001年頃のものです